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スポーツ界を襲ったコロナウイルス。
日韓の政府、連盟の対応を徹底比較!
text by

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byEiji Yoshizaki
posted2020/02/28 20:30
まるで練習風景のようにしか見えない――韓国プロバスケットボールのリーグ戦の無観客試合。
「延期のほうが望ましいと思う」
いっぽう、試合後の会見では記者団の指名により、ソウルのジャミール・ウォニー(アメリカ)と、アメリカ系の韓国選手チョン・テプンの2選手が出席した。
試合内容もさることながら、無観客試合に関する質問も多く飛んだ。1人の記者が、ズバリ聞いた。
――こういう状態で試合をやるくらいなら、延期してしっかりとやったほうがいいのではないか。そう思いませんか。
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興味深いことに2人の意見は異なるものだった。
「今日は公式戦ではなく、まるで練習試合だった。変な感じがした。ファンがいなかったため、試合の序盤に押される展開になった。もちろんファンがいなくてもベストは尽くす。ただ無観客よりも状況がよくなるまでの延期のほうが望ましいと思う。ファンがいてこそプロスポーツは意味があると思うので」(ジャミール・ウォニー)
一方、チョン・テプンの考えは違った。率直な話しっぷりで知られる同選手は、また別の選手心理を口にした。
「もし中断となったとしても、2週間休むのか、1カ月なのか。あるいは2カ月以上かかったらどうするのか。本当に率直に自分の気持を言うとしたら、今のように無観客だったとしてもリーグ日程は消化したい。たとえプレーオフがなくなっても、レギュラーシーズンはやりたい。もちろんファンがいないというのは異常だし、テンションが落ちるけれど」
無観客試合を“異様な空間”と煽るのは簡単だ。だがプレーヤー心理とすれば、「スケジュールに沿って試合をやりたい」という気持ちは生じうる、ということだ。この状況ではややもすれば見落とされがちな視点ではないだろうか。
連盟の決定は各チームからの意思によるもの。
試合後、筆者から個人的にソウルSKの関係者に聞いた。「連盟側の決定の背景はチーム側に伝わっているのか」と。
つまり納得がいく決定だったのか――。
答えは「連盟の指示ではなく、各チームの責任者が連盟に集まっての会議で『無観客』が優勢だった結果」というものだった。

