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北京パラを目指す高田千明が妊娠……。
当時の心境と状況を松岡修造が訊く。 

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松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

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photograph byNanae Suzuki

posted2020/03/03 07:00

北京パラを目指す高田千明が妊娠……。当時の心境と状況を松岡修造が訊く。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

何度も訪れる高田千明のピンチに思わず松岡修造も絶句! それを乗り越えて、彼女はいかに大成したのか?

コーチに「泣きながら電話をしました」。

松岡「じゃあ、振り返るとそこですね、千明さんの本気に火がついたのは。大森さんはそこからどう舵を切っていったんですか」

大森「まず最初は100m走をやらせたかったんです。ただそこでちょっと問題があって、僕がチームを辞めるんですよ。思うところがあって、新たに自分のチームを立ち上げようと。それでいったんコーチと教え子の関係を解消しました」

松岡「これからって時に、オレ辞めるわって。千明さんからしてみれば、捨てられたと感じてもしょうがないですよ」

高田「そうです。だから私、『なんでそんなことするんですか』って泣きながら電話をしました。大森さんの指導のもとでやってきたのに、これからどうしたら良いのって」

大森「タイミングがありますからね。すぐに彼女を連れていくと、チームから引き抜いたと思われるし、僕としてはいずれは引き取りたいという気持ちがあったんですけど、そこはぐっと堪えて。でもその時、彼女の方にも大事件が起きるんです」

「子どもができましたって」

 このタイミングで、またトイレに出かけていた息子の諭樹くんが戻ってくる。松岡さんがひと言。「諭樹、集中しろ。大事件だぞ」。かぶせるように、大森さんが言った。

大森「北京がダメになった次の月ですね、子どもができましたって」

松岡「君(論樹くん)のことか」

大森「ハハハハ。次のロンドンへ向けてと言っているときに、子どもができましたって。思わず、気が抜けました」

松岡「これは難しいね。幸せなことなんだけど、競技を続けることを思うと、相当出遅れることになります」

高田「そうですよね。チームの中で一緒にやっていた選手で、今の主人ですけど、雑誌を読んでくれたり、陸上のことで相談にも乗ってくれて、それで北京がダメで、22歳で結婚しても良いかという流れだったので……」

松岡「何を言っているのか良くわかりません。ただ、すごく動揺しているのは伝わってきます(笑)」

【次ページ】 「両親には猛反対をされて……」

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