関根潤三と池山隆寛、小川淳司と村上宗隆。

　過去2年間、昨年まで監督を務めていた小川淳司現GMに定期的に話を聞いていた。

　その際にしばしば村上が話題になった。たとえば、「四番・バレンティン」ではなく、あくまでも「四番・村上」にこだわった理由を尋ねた際に小川前監督は次のように言った。

「村上を四番に据えていたのは、成績上の理由ももちろんですが、彼の成長を意識した上での起用でもあります。

　ただ、“オレは四番だ”という自覚を持つことは大切ですが、それで慢心したりせず、常に謙虚であってほしいという思いは常に持っています」

　この言葉を聞いていて、僕は80年代の関根潤三監督と当時売り出し中だった池山隆寛（現二軍監督）の関係を思い出していた。

グッと我慢して起用し続けた。

　三振ばかり繰り返す池山を、当時の関根監督はグッと我慢して起用し続けた。この当時のことを関根さんに尋ねたことがある。関根さんは当時の心境について、こんな言葉を口にした。

「三振？　だってしょうがないじゃない、三振するんだから。それを怒ったってしょうがないからね。野球には三振もあればエラーもある。

　怒るんじゃなくて、どうしてそうなったのか原因を考えて、あとは練習するだけでしょう。そうするとね、あいつらも少しずつうまくなっていくんだよ。それを見ているとかわいくなってくるよね」

　関根さんの言う「あいつら」とは、池山であり、広澤克実のことだった。この言葉を小川前監督に告げ、改めて「当時の関根監督の起用法について、どのようにお考えですか？」と尋ねたことがある。

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