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ラオウの意識改革は「コンパクトに」。
オリックス杉本裕太郎が磨く確実性。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2020/02/26 11:00

ラオウの意識改革は「コンパクトに」。オリックス杉本裕太郎が磨く確実性。<Number Web> photograph by Kyodo News

長打力が魅力の杉本裕太郎。昨季は18試合に出場し、4本塁打を放った。

“単打”でニュースになる男。

 その後も杉本はホームランバッターの道を突き進む。徳島商業高校、青山学院大学からJR西日本を経て、2015年のドラフト10位でプロ入りを果たした。

 プロ1年目は1試合のみの出場で無安打に終わったが、2年目の初打席で本塁打を放ち、プロ初安打を記録。3年目も、一軍昇格後の最初の試合で満塁弾をたたき込んだ。その年は7試合に出場し3安打に終わったが、そのうち2本が満塁本塁打だった。4年目の昨年は自己最多の18試合に出場し、8安打のうち4本が本塁打。過去4年間に一軍で放った13安打のうち半分以上の7本が本塁打という、ある意味、怪物である。昨年4月20日の東北楽天戦で、プロ53打席目にして初めて“単打”を放ったことがちょっとしたニュースになったほどだ。

 試合前の打撃練習を見た相手チームの選手も目を丸くするほど、芯に当たった時の飛距離はとてつもない。

 その杉本が、5年目の今年、変身しようとしている。

バットを軽く、コンタクトに重点を置く。

 杉本といえば本塁打。それは大きな魅力だが、過去4年間は一軍に定着できなかった。昇格した直後は本塁打で沸かせるが、打席を重ねるにつれ相手に対応されて打てなくなり、二軍に降格する。それを繰り返してきた。

 今年はそこから抜け出すために、変わる。

「過去4年間、ホームランや長打ばっかり求めてきて、結果、一軍に定着できなかったので。確実性が僕の課題だというのは、誰が見ても思うこと。そこを直さないと一軍で出られないと思って、1月から取り組んできました」

 バットは、約870グラムから約800グラムへと軽くし、重心もトップバランスからミドルバランスに変えた。「持った感じが全然違う」というバットでキャンプに臨み、「コンタクトに重点を置いている」と言う。

【次ページ】 「ランナー二塁の場面を想定して」

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