交渉の席での言葉を嘘にしない。

――とはいえ、その穴を埋めるところから編成をスタートさせなければならない。

「そう。普通、補強ってプラスなんですよ。現状がはっきりしていて、上を目指すために、どうやって積み上げていくか。でも、僕らの場合は、誰が抜けるか分からない、ここを引き抜かれたから、その穴を埋めるのか、違う考え方をするのか。獲れる選手が限られているし、来てくれるかどうかも分からないから、編成に費やす時間だけがいたずらに延びていく。

　その中で、うちを選んで来てくれた選手には感謝しています。もちろん、獲得した選手全員がうちで成功するわけではない。失敗する選手もいるけれど、交渉の席で言ったことが嘘になってはいけない。『山口に来て良かった』と思わせなきゃいけない。それは僕の責任ですね」

（ベテラン加入、池上丈二の主将就任、育成型クラブとしての立ち位置……後編に続く）