All in the Next ChapterBACK NUMBER
「君は関西人か、東京に負けるなよ」
野村克也からもらった珠玉の言葉。
posted2020/02/12 20:30
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Kyodo News
「君は関西人か、東京に負けるなよ」
東北楽天ゴールデンイーグルス時代の野村克也監督に初めてご挨拶をさせていただいた際、こんな言葉を掛けられました。
テレビ局に入社して間もない僕にとって、野村さんの一言一言が、辞書から引き出された珠玉の言葉のように聞こえました。
相手が自分たちよりも大きく強ければ強いほど燃える。情熱的だけれどクレバーに燃える。経験、知性、話術……さまざまなツールを使い、人心掌握する魔法を持たれていた人でした。
「一流は一握り」
「二流なら二流の中の一流になれ」
「嫌われてもいいんだよ、選手とチームが育つなら」
「叱るってのは俺にとって褒めるってことや」
「いつまで経っても現場に戻りたい、仕方ない衝動」
「妻を超える強者と理解者はいない」
試合前の球場のベンチで、試合後の記者囲みの会見で、生放送前の控室での打ち合わせで、自身がプロモーションを務める映画試写会のインタビューで……さまざまな場面で野村さんから聞いた言葉は、今でも克明に浮かんできます。
スポーツメディアの枠を越えて。
70代になっても週末の深夜スポーツニュース番組に生出演して下さいました。そして野村さんが出演して下さると視聴率が非常に良かった。
上記の言葉をご覧になれば、気付く方も多いかもしれませんが、スポーツファン、プロ野球ファンのみならず、ビジネスマンや家庭を支える男性の心にも刺さるような、明日へのモチベーションとなるようなメッセージを送ってくれる方でした。だからこそ、スポーツメディアの枠を越えて、幅広いジャンルのメディアからの支持が非常に高い貴重な存在でした。