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前田健太のツインズ移籍報道。
これは、ウエルカムな話なのか?
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKyodo News
posted2020/02/07 20:00
ドジャースタジアムでのファン感謝イベント後に取材に応じる前田健太。ツインズへのトレード話の結論はいかに……。
ドジャースには愛着があったはず。
「先発一本で勝負したい」
前田は毎年のように代理人を通じ、ドジャース・フロントに待遇改善を訴えてきた。先発として結果を残せていないのならまだしも、確実に二桁勝利を期待できる実績を残しているのだから、選手として当然の権利だ。その上で彼は今年も抱負を口にした。
「1年間を通してローテーションを守り、先発1本で勝負したい」
この言葉には、隠されているものがあると感じる。それは“ドジャースのチームの一員として”である。最も大事な部分だ。彼にとって、それほどにドジャースとロサンゼルスへの愛着があった。
ドジャースで確立した地位と信頼。
野球選手に限らず、日本から米国へ移住して来た者にとって、最初に生活した街がマイ・ホームタウンとなることは圧倒的に多い。都会であろうが、田舎町であろうが、場所は関係ない。最初に自分の居場所を見つけられた街への愛着は一生ものとなる。
ましてや、マエケンには夫人と2人の子供がいる。家族にとって、ロサンゼルスは「我が街」そのものであったであろう。その街で彼は選手として、ドジャースでの地位と信頼を築きあげた。それは米メディアの報道でもわかる。
地元紙オレンジ・カウンティー・レジスターはトレード前に今季の3本柱は「ウオーカー・ビューラー、クレイトン・カーショー、ケンタ・マエダである」と評価した。経済紙「フォーブス」の記者は発表後に「マエダの穴はデービッド・プライス(レッドソックス)では埋められない」ともつぶやいた。
その一方でツインズ・メディアはこぞって前田の加入を歓迎した。
前田の思いは“ドジャースで1年間ローテションを守り、今年こそ世界一に先発投手として貢献したい”にあったであろう。だから、思う。今は安易に「マエケンにとって、いいトレードだ」とは言ってはならないと……。