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G大阪の秘密兵器は“FW”小野瀬康介。
宇佐美貴史を超えるというリスペクト。
 

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下薗昌記

下薗昌記Masaki Shimozono

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photograph byMasaki Shimozono

posted2020/02/06 11:30

G大阪の秘密兵器は“FW”小野瀬康介。宇佐美貴史を超えるというリスペクト。<Number Web> photograph by Masaki Shimozono

昨年まではサイドが主戦場だった小野瀬(右)。今季は尊敬する宇佐美との2トップが見られるかもしれない。

小野瀬に響いた貴史君の言葉。

 ガンバ大阪の熱意に加えて、ドライな現代っ子、小野瀬の心に響いたのは一学年上のスター選手からの言葉だった。

「揺らいでいる時に、貴史君とご飯に行く機会があって『一緒にやりたいよ』と言ってくれた」

 小野瀬にとって、宇佐美は私生活では仲の良い先輩であると同時に、ピッチ内では高い壁としてそびえ立つ、乗り越えたいライバルでもあった。

「宇佐美貴史に勝ちたいというチャレンジかな」

 一度は敵チームで「宇佐美超え」を目指した小野瀬だったが、その宇佐美や親友でもある三浦弦太の言葉が残留への大きな後押しになったのだ。もっとも宇佐美を目標に掲げるのは憧れにも似たリスペクトを持ち続けているからこそだ。

「僕らの年代の選手で宇佐美貴史は突出した存在ですし、そういう選手と一緒にサッカーをしているのは感慨深いものがある」とは小野瀬による宇佐美評である。

照れ隠しの「大人になったかな」。

「得るものより失うものの数の方が多いと思ったんですよ。ガンバで築いたものとかチームメイトやサポーターとの関係もあるし、誰かのために頑張りたいと思ったのが一番ですかね」

 下部組織で育ち、プロデビューを飾った横浜FCからレノファ山口に完全移籍、そして2018年にガンバ大阪へとステップアップしてきた小野瀬。過去2度、移籍を経験しているが全ては自らの成長だけを考えての決断だった。

 そんな男は「自分のチャレンジよりも、誰かのために頑張る年にしたいかな」と言った後、「大人になったかな」と照れ隠しの一言を口にした。

 誰かのために頑張る――。その言葉に嘘はないことを京都サンガ戦の90分で小野瀬は証明した。

【次ページ】 タメを作り、守備意識も高い。

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