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フェデラーは22年、途中棄権ゼロ。
その美学とジョコ&マリーとの絆。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byAFLO
posted2020/02/01 20:00
ジョコビッチ戦を終えたフェデラー。そのコンディションを知るロッド・レーバー・アリーナの観衆は万雷の拍手を送った。
ジョコも「ロジャーに敬意を」。
かつては棄権が多いと非難されたことのあるジョコビッチも、ナンバーワンになった2012年からの4年間は一度も棄権しなかった。王者の苦悩は王者にしかわからない。オンコート・インタビューで「今日コートに出て来てくれたロジャーに敬意を表したい」と語った。
「ベストの状態じゃないとわかっていて、試合に入るのは辛かったと思う。それでもやめずに、最善を尽くしてくれたことに感謝する」
フェデラーが心を痛めている2014年のATPファイナルズ決勝は、もちろんジョコビッチにとっても残念な記憶となっているはずだ。
しかし最悪なだけの結末ではなかったことも、誰もが覚えている。
フェデラーの代わりにコートに立ち、ファンのためにジョコビッチとエキシビションマッチを行なった仲間がいたからだ。同じ大会のラウンドロビンですでに姿を消していたアンディ・マリーだった。
「連絡を受けたときはテニスのゲームをしているときだったよ」「ラウンドロビンでロジャーを苦しめた僕にも責任がある」などとジョークを言いながらこの役を引き受けたマリーに、ファンは慰められ、大会は救われた。テニスはなんと恵まれているのだろう。彼ら一流たちの敬意と誠意によって、テニス界のあらゆる絆は豊かに発展してきた。
そして、その中心にずっといるのが、ロジャー・フェデラーなのである。