テニスPRESSBACK NUMBER
全豪制覇21歳ケニンに15歳ガウフ。
大坂なおみを急追する新世代たち。
posted2020/02/04 19:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
AP/AFLO
連覇を狙った大坂なおみが3回戦で姿を消した全豪オープンで、世界ランキング15位、21歳のソフィア・ケニンが初めてグランドスラムのトロフィーを掲げた。
「混沌の時代」、「女戦国時代」と謳われるこのところの女子テニス界も、ここまできたかという印象だ。
昨年の全仏オープンでセリーナ・ウィリアムズを破り、夏にはシンシナティで大坂も退けたケニンは、将来を有望視されている若手の1人ではあったが、グランドスラムは過去4回戦が最高だ。まだ時間を要すると思われた。
しかし、大坂を破ってきた15歳のコリ・ガウフを4回戦で退けると、準決勝で世界1位のアシュリー・バーティを撃破。完全アウェーの空気を吹き飛ばすメンタルの強さを見せた。
直近13回の四大大会で8人の新女王。
決勝の相手は、今でこそノーシードとはいえ全仏オープンとウィンブルドンのタイトルを持つ元女王ガルビネ・ムグルサだ。浮き沈みも含めて経験豊富な26歳を相手に、初の大舞台であることを感じさせない強心臓を見せつけ、持ち味の守備力と正確なコントロールを発揮。ミスなく頭脳的にショットを組み立てた。
最終ゲームを含めて大事な局面でムグルサが重ねたダブルフォルトは、がむしゃらさと冷静さを併せ持つケニンからの不気味なプレッシャーのせいだったのだろう。
モスクワで生まれ、両親とともにアメリカに移住したケニンは、「マリア・シャラポワが17歳で優勝したのをテレビで見ていたわ。私の中には彼女と同じロシア人の闘争心や激しさがある。自信を持とうと思った。私にアメリカンドリームを見させてくれた両親に感謝したい」と語った。ビッグステージでの図太さ、必死さはその生い立ちと無関係ではない。
これで、2017年の全豪オープン以降の13の四大大会トロフィーには、11人の異なる名前が刻まれたことになる。うち8人がグランドスラム新女王だ。