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ジーコ超えへ「最低でもFK1本」。
中村俊輔、42歳でのミッション。
 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2020/02/01 11:50

ジーコ超えへ「最低でもFK1本」。中村俊輔、42歳でのミッション。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

明るい表情で自主トレに励む中村。バットを振る珍しい姿も見せた。

「細いながらも筋力はかなりある」

「中村選手は華奢に見えるので筋力がないと思われがち。でも私から言わせれば、細いながらも筋力はかなりあるほう。

 たとえば今回もロープを腰に巻いて僕を引くというトレーニングをやったんですが、JFLの若手よりスイスイと前に持っていける。

 引っ張る力ひとつ取っても、41歳になって落ちているとも思えない。それに筋肉が柔らかいし、股関節からひざや足首を連動させる動きは抜群。力むことなくスムーズな動きができるので、ああいったシュートが打てるんです」

 新盛氏が言う「ああいったシュート」とは、10月27日の東京ヴェルディ戦。

 中村はペナルティーエリアの外、約20mの距離から矢のようなミドルシュートを炸裂させた。強い筋力にプラスして股関節からのスムーズな連動が生み出した一発であった。

「最低でも1本はフリーキックを決めたい」

 自主トレ初日が終わった際、中村に2020年シーズンの目標を尋ねた。チームのことや求められるボランチ像をひとしきり語ったあと、ボソッとこう言った。

「個人的なものであるとすれば、最低でも1本はフリーキックを決めたい」

 重みのある言葉だった。

 少なくとも2019年シーズンには聞いた記憶がない。軸足となる右足首がようやく回復してきて、思い描くフリーキックが打てるという感覚を持つことができているからこそだと感じる。

 自分で持参した自主トレグッズには野球のバットも入っていた。少年時代には野球もかじっていただけに、なるほどバットを振る姿もサマになっている。

【次ページ】 なぜ、バットを?

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中村俊輔
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