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ジーコ超えへ「最低でもFK1本」。
中村俊輔、42歳でのミッション。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/02/01 11:50
明るい表情で自主トレに励む中村。バットを振る珍しい姿も見せた。
右足首に愛情を持って接した。
「40歳になっても(右足首は)耐えてくれているんだから、大事にしてあげなきゃいけないし、感謝しなきゃいけない」と来る日も来る日も慎重な“チューニング”を続けた。
右足首に愛情を持って接した。
PRP療法や超音波治療など、ありとあらゆる治療を試した。もはや執念と言ってよかった。
巻き返しを図ろうとした2019年シーズン。しかし先発機会は開幕戦の松本山雅戦(2月23日)のみで、以降は試合に出られない日々が続いた。
下位からなかなか抜け出せないチームに貢献できないことは中村を苦しめたとはいえ、結果的には右足首を休ませることにもつながった。
ボランチで新境地を開く。
横浜FCに移籍して、終盤戦に満を持して登場。ボランチで新境地を開くことができたのも、右足首の不安が小さくなっていったことと無関係ではなかったはずだ。
今年1月の自主トレに同行したトレーナーの新盛淳司氏(新浦安しんもり整骨院入船院・院長)は中村の状態についてこう話してくれた。
「去年までは『痛い』と言っていた動作をやってみても、今年は『痛くない』という反応でした。足首もそうですけど、コンディションも去年から継続的にいいので、本人も良いスタートが切れそうだという感触はあるんだと思います」
新盛氏は中村のジュビロ磐田時代、パーソナルトレーナーとして右足首の外側にある「浅腓骨神経」と周囲の癒着を緩和させるなど、独自の理論で支えてきた。
セルティック時代から中村の体を見ており、誰よりも把握している。その新盛氏が、今年の自主トレで「さすがだな」と思ったことがあったという。