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<証言構成>
リーチマイケルのリーダーシップを見よ。
posted2020/01/30 08:00
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Atsushi Kondo
多様性に富んだ日本代表をベスト8に導き、「ONE TEAM」の象徴となったキャプテン。そのチーム統率力の真髄はどこにあるか。クラブ、代表で共にプレーした3人に話を聞いた。(Number996号掲載)
「高校生の頃のリーチには、特にリーダー的な雰囲気は感じませんでしたね」
三上正貴はそう振り返った。
時を遡ること14年。2006年5月、青森工3年生だった三上は、大阪で行われた高校日本代表候補の第1次合宿に招集され、今は運行されていない寝台特急「日本海」で約15時間揺られて大阪に着いた。合宿地の大阪体育大学セミナーハウスへ向かおうと電車を乗り継いでいるときに、札幌から空路、大阪に着いた札幌山の手高3年生マイケル・リーチとばったり会った。
三上は高校1年のとき、北海道・北見合宿の試合で初めてリーチを見た。そのあとは高校日本代表の東北・北海道地区セレクション合宿で一緒になった。ポジションも違い、しゃべったことはなかったが、どちらも知らない土地で心細くしていることは互いに分かった。どちらから声をかけるでもなく2人は合流し、一緒に電車に乗った。「その頃のリーチの印象は……『あ、留学生がいるな』と思ったくらい。体も細かったし、スゴい感じじゃなかった。こんなになるとは、全然思わなかった(笑)」
だが印象は、実際に高校日本代表で遠征をともにすると一変した。この年の高校日本代表は6月に結成され、オーストラリアに遠征した。リーチはロックで起用された。当時のサイズは186cm92kg。「ガリガリだった」とリーチ自身が言う来日時の78kgからは増量していたが、現在の189cm105kgとは別人のように細身だった。