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サントリーの攻撃ラグビーとは何か?
SH流&SO田村熙が語るパスの極意。
posted2020/01/30 11:50
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph by
Nanae Suzuki
速いパスでボールを動かし、FWを交えた連続攻撃は縦に鋭い。互いに攻撃ラグビーを掲げるチーム同士の80分はあっという間に過ぎ去った――。
ラグビートップリーグ第3節。王座奪回を目指すサントリーサンゴリアスは、早くもリーグ2敗目を喫した。昨季、順位決定トーナメントの決勝戦でぶつかった宿敵・神戸製鋼コベルコスティーラーズの、隙のないラグビーを前に29-35。あと一歩及ばなかった。
結果を見れば「王者の風格」を見せつけられた格好となったが、それでもサントリーは随所に“らしさ”を示した。事実、この試合で先手を打ったのはサントリーSO田村熙(ひかる)だった。
4分、SH流大からボールを受け取った田村は相手DFラインに生まれたミスマッチを突き、鋭いランで自らラインブレイク。学生時代はFBとして鳴らしており、「走れるのも自分の特徴」と語っていた10番は一気にインゴールへ飛び込んだ。
その後も長短を織り交ぜたパスで攻撃にリズムを生み出し、名手マット・ギタウと交代する62分まで司令塔の役割を全うした。
サントリーが挑戦するチームの改革。
2019-2020シーズン、W杯でジョージア代表を率いたニュージーランド人ミルトン・ヘイグ監督を招聘したサントリーは新しいチームを作り始めた。共同キャプテンとなったのは、SOマット・ギタウ、FL/No.8ショーン・マクマーン、そして日本代表の不動の9番となったSH流大だ。
その流については、発売中のNumber996号「ラグビー再入門」で「流大の<操縦術>を見よ」を掲載。東芝ブレイブルーパスとの開幕戦後のインタビューで、司令塔と呼ばれるSHの役割とは何かを改めて掘り下げてもらった。そのインタビューの中で、新チームの方向性について以下のように語っている。
「昨年の決勝(順位決定トーナメント)で神戸製鋼に55点も取られて負けている。そこは忘れてはいけない数字。だから新チームのゴールのひとつとして『トップリーグの中で一番のディフェンスチームになる』と掲げました。時間はかかると思いますが、アタックと同様にディフェンスでもプライドをチームに植えつけていきたい」