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日本屈指のリーダー、廣瀬俊朗の新たなる旅立ち。~五郎丸がリーダー像を学んだ男~
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byAFLO
posted2016/03/28 06:00
現役最後の試合は2月13日、トップリーグ選抜の主将として臨んだサンウルブズ戦だった。
「廣瀬さんとの出会いは衝撃でした」と言ったのは五郎丸歩だった。
練習中にミスをしたり、集中力を欠いたりする選手がいると、廣瀬俊朗は叱責するのでも励ますのでもなく「何かあったんか?」と尋ねた。私生活や体調面に何か気になることがあるのか? それまで、グラウンドで100%を出すのは選手として当然と考えていた五郎丸にとって、考えたこともない視点だった。2012年、エディー・ジョーンズのもと日本代表で副将に指名された五郎丸は、主将の廣瀬と身近に接することで、ラグビー観もリーダー観も深みを増したという。
記者にも印象的な場面がある。ある遠征から帰る飛行機で、たまたま通路をはさんで隣になった廣瀬が英字紙を読んでいた。「勉強というか、どんな表現方法があるのか、自分の引き出しを増やせたらと思って……」。自らの表現ツールを磨き続ける勤勉な、それでいて気負いのない姿勢に「掴まれた」気がした。