SCORE CARDBACK NUMBER
【追悼 コービー・ブライアント】
コービー引退で湧き上がった、
レイカーズ若手たちの決意。
posted2020/01/27 13:30
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
立っているのがやっとなほど疲れきったコービー・ブライアントのもとに、レイカーズのチームメイトたちが、跳びはねるように集まってきた。
4月13日、ブライアント現役最後の試合の終了間際のこと。駆け寄ってきたのは、共にコートに立ち戦っていたルーキー、デアンジェロ・ラッセルとラリー・ナンス・ジュニア、そして2年目のジュリアス・ランドルとジョーダン・クラークソンの4人。いずれも、ブライアント引退後のレイカーズの再建を担うことを期待されている若手選手たちだ。
両手を大きく広げて彼らを受け止めたブライアントは、彼らに「ありがとう」と感謝の気持ちを告げたという。
若手選手たちにとって、長く、苦しいシーズンだった。シーズン82試合で勝ったのは僅か17試合。これは、ランドルがケンタッキー大時代に約半分の試合数であげた勝ち星、29を大きく下回る。勝てない苦しさに加え、NBAの世界の壁、その中での自分の力の発揮のしかた、チームでの役割など、世間の注目が引退直前のブライアントに集まる裏で、様々なことに悩み、苦しんだ。
しかし、最後の試合で、そんな悩みがすべて吹っ飛んだ。
クラークソンは言う。
「最後の試合で、僕らはみんな、自分のことを心配するのをやめて、コービーのために戦った。それが楽しかった」
若者たちは進んで裏方となり、スクリーンをかけ、パスを回し、リバウンドを取った。チームメイトたちのサポートを受けたブライアントは、実に50本のシュートを打ち、60点をあげ、そしてチームを勝利に導き、会場を熱狂に包んだ。
会場を埋めたファンの熱狂も、若者たちの記憶に強く焼き付けられた。プレイオフを逃したチーム同士の試合だったのに、まるでNBAファイナルであるかのように熱い声援を送り、ブライアントの後押しをする。それこそがチームの歴史の積み重ねの証だと感じたという。
「このチームは、それだけ成功を重ねてきた。ファンは成功を期待しているんだ」とラッセル。
次は自分たちの力で、レイカーズのファンを熱狂させ、再び歓喜を味わいたい。若者たちは、みんな、心の底でそう誓っていた。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。