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万全のウッズが2020年に狙うこと。
史上最多の83勝目、東京五輪にも? 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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posted2020/01/21 11:50

万全のウッズが2020年に狙うこと。史上最多の83勝目、東京五輪にも?<Number Web> photograph by AFLO

年末のプレジデントカップでも、ウッズの表情は明るかった。万全で向かう2020年、今年もウッズは強そうだ。

米ツアー史上最多勝に日本で並んだ。

 悪天候による不規則進行とマンデー・フィニッシュの長丁場を母国ではなく国外で制し、故サム・スニードに並ぶ82勝目を挙げたという事実は、近年の紆余曲折を経てきたウッズの心の拠り所をさらに強固にしたと言っていい。

「厳しい1週間だった。月曜日なのに、たくさんの人々が応援に来てくれた。日本のみなさんの温かいサポートに感謝しています。また来年、ここに戻ってきたい」

 ウッズの笑顔は黄金期の眩しさとはやや異なり、まろやかな輝きに包まれていた。

 その後のウッズは、バハマで開催されたヒーロー・ワールド・チャレンジに出場。その翌週はオーストラリアに渡り、米国チームと世界選抜チームの対抗戦、プレジデンツカップにプレイング・キャプテンとして臨んだ。

 だが、米ツアー勝利数に数えられるという意味では、今週のファーマーズ・インシュアランス・オープンがZOZOチャンピオンシップ以来の米ツアー公式戦となる。

 勝利数を「83」に増やし、歴史的記録を塗り替えることはできるかどうか。ファーマーズ・インシュアランス・オープンは、その最初のトライアルになる。

ウッズが7勝している相性抜群のコース。

 試合会場となるトーリーパインズ(米カリフォルニア州)はウッズが同大会7勝を挙げ、2008年全米オープンを制した相性抜群のコースだ。

 さらに言えば、合計8度の優勝を挙げた一方で、忘れがたき経験を味わった場所でもある。3度目の腰の手術を受けて2016年シーズンを完全欠場した後、1年5カ月ぶりの復帰戦に選んだのは2017年のファーマーズ・インシュアランス・オープンだった。

 だが、予選落ちを喫し、その3カ月後、4度目の腰の手術に踏み切った。そして再び戦線離脱となり、長いトンネルに入っていった。

 2018年に復帰戦に選んだのも、やはりこの大会だった。暗闇から抜け出してきたウッズの復帰第1打を見ようと詰め寄せた大勢のファンが1番ティ周辺もクラブハウスのパティオに外階段もすべてを埋め尽くしていた中、硬い表情でティオフを迎えたウッズ。

「1番ティに向かうときは心臓が高鳴り、足が震えた。あれほど緊張したことはなかった」

 あの日、あの瞬間がウッズの復活へのファーストステップだった。以後、彼は徐々に、しかし着実に調子を上げ、ツアー選手権優勝へ、翌'19年のマスターズ優勝へ、ZOZOチャンピオンシップ優勝へと歩を進めていった。

 そう、復活劇の始まりはトーリーパインズだったのだ。そして、歴史を塗り替える2020年の挑戦が、今、トーリーパインズから始まろうとしている。

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