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万全のウッズが2020年に狙うこと。
史上最多の83勝目、東京五輪にも?
posted2020/01/21 11:50
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
暮れも押し迫った12月30日に誕生日を幸せな気持ちで迎え、年が明けたらファーマーズ・インシュアランス・オープンで新年のキックオフ戦を意気揚々と迎える。それは、タイガー・ウッズにとって「理想的な恒例」である。
そして、昨年暮れに44回目のバースデーを笑顔で迎えたウッズは、今週、ファーマーズ・インシュアランス・オープンから2020年をやはり笑顔で始動しようとしている。
理想的な恒例が実現されつつある今、ウッズの胸の中には、どんな想いがあるのだろうか。
誕生日を幸せに迎え、1年の初戦を意気揚々と迎えることが理想――それは、言い方を変えれば、そのどちらか、あるいはその両方が思うように実現できない年が、ウッズには幾度もあったことを示している。
腰の痛みに苦しめられていたのは、わずか3年前。あのころは歩くだけでも大変だった。2年前の冬は「トンネルの向こう側に光が見えない」と言って下を向いていた。
だが、2018年の最終戦、ツアー選手権で5年ぶりの復活優勝を遂げると、2019年はマスターズを制してメジャー15勝目を挙げ、10月には日本でZOZOチャンピオンシップで勝利し、歴史に並ぶ通算82勝目を挙げた。
「しゃがむのも大変だった」
昨夏に左膝の手術を受けて以来、初めての試合参戦となったZOZOチャンピオンシップ。当初は出場さえ危ぶまれていたが、関係者やファンの不安を吹き飛ばす好プレーを披露し、笑顔で勝利を飾ってくれた。
手術以前は左膝の痛みがひどく、「グリーンでラインを読むとき、しゃがむのも大変だった」。習志野でパットが冴えたのは、手術によって痛みが解消されたことが大きかった。
「スムーズにしゃがめるかどうかなんて些細なことと思われるかもしれない。でも、そういうことが重要だった」
噛み締めるようにそう言ったウッズの充足感に溢れた表情が今でも忘れられない。傍から見れば、小さなことでも、自分自身が「よし、大丈夫!」と思えるかどうか。百戦錬磨のウッズにとっても、心の拠り所こそが何より重要なのだ。