ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
皇帝ヒョードルと日本の深く長い縁。
リングスの補欠扱い、ミルコの一言。
posted2019/12/26 11:15
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
Getty Images
年末の風物詩である、さいたまスーパーアリーナでの格闘技イベント。
今年は大晦日に『RIZIN.20』が開催されるのにプラスして、12月29日にも同じさいたまスーパーアリーナで、UFCに次ぐアメリカのメジャー格闘技イベント『ベラトールMMA』の日本大会が、RIZIN協力のもと初めて開催される。
そのメインカードとなるのが、エメリヤーエンコ・ヒョードルvs.クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン。皇帝ヒョードルの日本ラストマッチだ。
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ヒョードルは昨年から今年にかけて開催されたベラトール世界ヘビー級トーナメントで準優勝した後、新たにベラトールと3試合契約を締結。現在43歳のヒョードルは、その3試合が引退ツアーとなり、今回の日本大会が第1弾。その後、ヨーロッパで1戦行ない、最後は母国ロシアで闘う予定だ。
元PRIDEヘビー級王者で、2000年代まで世界最強の名をほしいままにしたヒョードルは、現在のMMA界でも大物中の大物。対するランペイジも、UFC世界ライトヘビー級王者として一時代を築き、『特攻野郎Aチーム』など映画にも出演したセレブファイターだ。
日本格闘技とファンへのプレゼント。
RIZINの榊原信行代表が「2人(ヒョードルとランペイジ)のファイトマネーは、RIZINの経済規模だと、とてもじゃないけど払えません。ベラトールだからこそ実現できる」と正直に語っている通り、両者のファイトマネーは莫大だ。
それでも日本での開催が実現したのは、ヒョードル、ランペイジ両者が日本で闘うことを望んだことと、ベラトールのスコット・コーカーCEOが、日本の格闘技界と日本のファンに敬意を表してのいわばプレゼント。現在、世界的に人気を博すMMA(総合格闘技)であるが、その魅力を知らしめたのが、かつてのPRIDE。そしてヒョードルこそ、世界中のMMAファイターやファンからもっとも尊敬されるPRIDEの象徴であり、日本格闘技界によって育てられた最高傑作でもある。
だからこそ、ヒョードルのラストツアーの出発点は、日本こそがふさわしいと考えられたのだ。