フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
全日本フィギュア、宇野昌磨が復活。
羽生結弦が不振。それぞれの理由。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2019/12/24 19:00
2位に終わったものの、試合後は笑顔も見せた羽生(左)。宇野は不振から見事に復活を遂げた。
「スケートを楽しむ練習を戻してくれた」
6月に子供の頃から指導を受けていた山田満知子コーチ、樋口美穂子コーチから「卒業宣言」をして、コーチ不在でスタートした今シーズン。フランス杯の後からずっとスイスに滞在し、指導を受けていたランビエルに関して宇野はこう説明した。
「やっと自分に、スケートを楽しむ練習を戻してくれた。このコーチのために、ぼくは一緒に戦っていきたいという気持ちがありました」
前半はファンをやきもきさせたが4度目の全日本タイトルという形で今シーズンの前半を締めくくった。
羽生、見たことのないミスを連発。
宇野の短期間での復活以上に驚いたのは、羽生結弦が2位に終わったことだった。SPでは普段の彼らしい滑りを見せたものの、フリー『オリジン』ではミスを連発。出だしの4ループでステップアウト、次の4サルコウはきれいにきまった。
スピン、そしてステップシークエンスに入ったところで、異変に気が付いた。普段の羽生ほどのスピードがない。
案の定、次のルッツが2回転に。羽生がこのようなミスをするのを近年見た記憶がなかった。次の4トウループでステップアウト。最後の3アクセルで転倒。
一体、羽生に何が起きたのか。怪我なのか、あるいは体調が悪いのだろうか。演技後にミックスゾーンで体力的な問題なのかと聞かれると、羽生はこう答えた。
「言いたくないです。で、いいですか。ごめんなさい」
「全部言い訳くさく聞こえるから、ホント嫌です。なんもしゃべりたくないのが本音です」
普段は常にきっちり自分の言葉を伝えようとする羽生が、こういう対応をするというのは何かかなり異常な事態が起きたということだ。