フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
16歳の鍵山優真が全日本で3位入賞。
ライバル佐藤駿と競い北京を目指す。
posted2019/12/27 18:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
「この日本一を争う舞台でメダルを取ることができたのはすごく嬉しいです。でもその反面、ショートとフリーを(ノーミスで)揃えられなかったというのはちょっと悔しいです」
鍵山優真は、記者会見でそう口にした。彼の横に並んでいるのは宇野昌磨と羽生結弦の、二人のオリンピックメダリストたちである。
代々木第一体育館で行われた全日本選手権で、16歳の鍵山が3位入賞を果たして銅メダルを手にしたのだ。
進化した二世スケーター。
この大会で、どのような目標をたててきたのか。そう聞かれた鍵山はこう答えた。
「この全日本では失うものは何もないので、挑戦というのを目標としてやってきた。とにかく失敗しても新しいことに挑戦しようと父とも話していたので、それがしっかりできて良かったです」
父というのは、彼のコーチでもある鍵山正和氏のことだ。
1990/1991年から3シーズン続けて全日本タイトルを手にし、1994年幕張世界選手権を最後にアマチュア競技を引退した元全日本チャンピオンである。
筆者は、記者になりたての1994年に幕張で鍵山正和の現役最後の滑りを見ている。
膝を柔らかく使ったジャンプの着氷が印象的で、この大会では6位入賞。1994年12月東京で開催されたプロ大会、チャレンジオブチャンピオンズではディック・バットンに「素晴らしいジャンパー」と評価された。
笑顔が正和氏に良く似た鍵山優真は、間違いなくこの父の良いところを受け継ぎ、プラス洗練されたリズム感と音楽表現、エッジをきれいに使った端正なスケーティング技術などを持っている、進化した二世スケーターである。