ぶら野球BACK NUMBER
元木大介と巨人の30年と大森剛。
アイドル、クセ者、ヘッドコーチ。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byKyodo News
posted2019/12/22 11:40
元木大介が原巨人のヘッドコーチとしてフィットする。こんな未来を思い描いた野球ファンはどれほどいることだろう。
大森がスカウトした坂本と。
今シーズン、忘れられない光景がある。球場で幾度となく繰り返されたあのシーン。球団初の生え抜き右打者40発を放った坂本勇人が、本塁打を打ちホームに還る際に三塁コーチャーの元木と笑顔でハイタッチを交わす。
振り返れば、坂本は'06年高校生ドラフトのドラ1選手。甲子園のビッグネームが揃う'88年組では目立たない存在だったが、担当スカウトが「素晴らしい選手がいる」と主張し、周囲に反対されながらもしつこく食い下がり説得。なんとか外れ1位指名にこぎつけた。
その当時のスカウトとは、大森剛である。選手・大森は長嶋政権の度重なる補強で出場機会を失い、トレード先の近鉄で'99年限りで引退。再び古巣に戻り、北海道・東北地区のスカウトをしていた。
その後の坂本の活躍はご存知の通りだ。大森がスカウトし、立派なキャプテンに成長した背番号6と背番号77をつける47歳の元木が交わすハイタッチ。
明暗分かれた平成元年のドラフトから30年、それぞれ色々あったが、令和元年の東京ドームで男たちの人生は確かに続いていた。年をとるのも悪くないかもな。客席からそんなことを思った。
プロ野球は永久に終わらない連続ドラマだ。
2020年シーズン、元木大介は巨人一軍ヘッドコーチとして戦う。
See you baseball freak……