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佐藤駿、ジュニアGPファイナル制覇!
ネイサン・チェンが「グレイト!」。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2019/12/14 11:30
優勝した15歳、埼玉栄高校の佐藤駿(中央)。左は2位のアンドレイ・モザレフ(ロシア)、右は3位のダニール・サムソノフ(ロシア)。
「やったー、駿! チャンピオン!」
まだ最終滑走でSP1位だったロシアのアンドレイ・モザレフが残っていたものの、おそらく佐藤を上回るスコアは出ないだろうと予感があった。
ミックスゾーンで佐藤の話を聞いている最中に裏で歓声が上がり、日下匡力コーチの「やったー、駿! チャンピオン! カッコいいぞおまえ!」という声が聞こえると、記者たちの間でも祝福の声が上がった。
勝利の鍵となった4ルッツ。
「練習のときから(4回転)ルッツは調子が良かったのでちょっと自信はあったけれど、トウループは調子が悪くて自信がなかった。でもルッツを降りたことによってその流れで跳ぶことができました」
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佐藤が4ルッツを練習しはじめたのは、2019年の夏のジュニア合宿でのことだったという。
「もともと(4回転)サルコウだったけれど、エッジ系のジャンプが苦手なので、ルッツをやってみたらサルコウよりも調子が良かった。確率がどんどん上がってきたのでルッツをやることにしました」
夏の合宿中にものにした4ルッツを試合で初めて成功させたのは、11月初頭に埼玉で開催された地方大会、オータム・コバトン競技会でのことだった。
だがその2週間後の全日本ジュニア選手権ではパンクしてしまい、鍵山優真に次いで2位に終わった。
ここでのフリーで降りた4ルッツは、佐藤にとってISUの公式試合では初の成功だった。成功の理由の一つは、憧れの先輩である羽生結弦の演技を繰り返しビデオで見たことだったという。
「自分(のルッツ)は力で跳んでいるところがあるので、(羽生の演技を参考にして)力を入れすぎないようにして跳んだら、跳べました」