スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
零細球団削減と草の根の損壊。
マイナーリーグ再編問題を考える。
posted2019/12/07 11:30
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
マイナーリーグ再編問題で、ここ2カ月ほどアメリカが揺れている。
MLBコミッショナーのロブ・マンフレッドが、「マイナーリーグに属する176球団中、42球団を削減するプランがある」と発言したことに対して、方々から火の手が上がっているのだ。
MLB機構とマイナーリーグ(MiLB)機構との間には、以前からPBA(professional baseball agreement)と呼ばれる協定が結ばれている。
マンフレッドは、その協定が2020年のシーズン終了後に切れるのを機に、「メジャー各球団が保有する選手の上限を150名とし、これまで40巡まで設定されていた新人ドラフトを20巡ないし25巡までに抑えたい」と述べたのだ。
削減の対象は、大リーグの下部組織に属する零細球団が大半を占める。
多くの町が「わがチーム」を失う。
しかしこの案が実現すれば、多くの町が「わがチーム」を失う。1000人を超える選手が失業する。
MLB側は、施設の劣悪な球団、移動に不便な球団、選手の俸給が安すぎる球団、大リーグ昇格の可能性が低い選手を多く集めている球団を削減することで、諸問題の改善が期待できると考えているようだ。
どうだろうか?
個人的な体験から申し上げると、マイナーリーグの球場で野球を見るのは楽しい。
私が訪れたのは、フロリダ州やアリゾナ州の春季トレーニング施設と、ニューヨーク州やカリフォルニア州の片田舎に位置するいくつかの球場など20カ所あまりにすぎないが、記憶に残っている場所はいくつかある。