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レッドブル・ホンダ、進歩の1年目。
3つの勝利以上に互いの敬意が尊い。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2019/12/08 19:00
最終戦アブダビGPを2位で締めくくったフェルスタッペンは、レース後ドーナツターンを披露。
フェルスタッペンもホンダに配慮。
翌日の決勝レースで、今度はホンダのPUに不具合が発生した。レース中に制御系にトラブルを起こし、アクセルを踏んだときの反応が不安定になってしまったのだ。そのことはフェルスタッペンの無線によって公になったわけだが、じつはフェルスタッペンだけでなく、ホンダPUを搭載するほかの3人も、同様の問題を大なり小なり抱えていた。
しかし、フェルスタッペン以外のドライバーはそのことを口にしなかった。無線が国際映像で流されたフェルスタッペンも、「大したトラブルではなく、今日の結果に影響を与えるものでもなかった」と話した。それでも田辺テクニカルディレクターはレース後、あえて自分たちが出したトラブルについて口にした。
「確かにこの問題はこの日のレース結果に影響を与えるようなものではなかったかもしれません。しかしもし接戦だったら、どうなっていたかわからない。たとえ順位に影響を及ぼさないとしても、トラブルはあってはならないこと。許せません。(チームとドライバーに)大変、申し訳ない」
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はホンダとパートナーを組んだ1年目を次のように振り返った。
「今年はわれわれにとって、13年間一緒に仕事をしてきた別の自動車メーカーと別れ、ホンダと仕事を開始するという移行期だった。しかし、ひとつのチームとして、ホンダとこのような戦いをできたことを私は誇りに思っている。来シーズンに向けて、われわれは自信を持って今シーズンを終えることができる」
'19年にホンダは3勝を挙げた。しかし、得たものはそれ以上に大きかった。