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全日本Jr王者・鍵山優真が語る、
憧れの宇野昌磨とライバル佐藤駿。 

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

PROFILE

photograph byAtsushi Hashimoto

posted2019/11/29 20:30

全日本Jr王者・鍵山優真が語る、憧れの宇野昌磨とライバル佐藤駿。<Number Web> photograph by Atsushi Hashimoto

五輪2大会に出場した父・正和コーチの指導のもと成長した鍵山優真。全日本ジュニア選手権優勝で、来年の世界ジュニア選手権、ユース五輪の出場も決定。

見つかった自分の武器は、スピンや表現力。

 その1人が同学年の佐藤駿(埼玉栄高校)だ。

「スケート年齢は僕の方が1個上なんですけれど、全日本ノービス選手権で会ってからは試合ではほとんど一緒で、駿はずっと連覇していました。ノービスBの時はあまり意識していなかったのですが、ノービスAに入ってから“こんなに強い選手がいるんだ”と少しずつ意識するようになりました」

 しかし、鍵山はなかなか勝てなかった。

「最初はかなわない敵かなと思っていましたね。でも、自分の武器が見つかって、それで戦えるようになってからは、最終的には勝ちたいと思うようになりました」

 鍵山が考える「自分の武器」とは何だろう。

「例えば駿には4回転ジャンプという武器があるんですよ。僕の場合は、スピンだったり、スケーティングや表現力の部分だったり、そういう部分をしっかりと磨いてきたので、それが自分の強みになってきたのかなと思います」

 本人も自覚しているように、ジャンプとスピンやステップなどの表現力の両輪がそろっての快進撃。その横に、佐藤という良きライバルがいることも成長の原動力となっている。

海外の選手、シニアからも学ぶ。

 初出場だった昨季のジュニアグランプリシリーズ。鍵山は海外の選手の演技に目が釘付けになった。

「日本の選手にはないものや、それぞれ違った特技や個性であふれていて、自分の目で見て勉強になりました」

 シニアの選手から学ぶことも多い。特に挙げるのは、「憧れの選手」という宇野昌磨。「スケーティングがすごく上手くて綺麗なので、そういう部分を真似したい」と考えている。

 そして、ネイサン・チェン。

「あれぐらい踊れたらいいなと思ったりします」と、チェンが今シーズンのフリーで見せているヒップホップ系の踊りに憧憬の念を抱いている。ジャンプで多くのパワーを使わなければならない昨今、チェンのように終盤の踊りにあれほどのエネルギーを残すには相当な体力が必要だ。

 けれどもその点に関して言えば、短距離走も長距離走も得意という鍵山は、心肺機能に自信を持っている様子。いずれ、チェンのような圧巻の踊りを披露してくれる日が来るという期待が膨らむ。

【次ページ】 全日本の表彰台も視野に入ってきた。

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