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全日本Jr王者・鍵山優真が語る、
憧れの宇野昌磨とライバル佐藤駿。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2019/11/29 20:30
五輪2大会に出場した父・正和コーチの指導のもと成長した鍵山優真。全日本ジュニア選手権優勝で、来年の世界ジュニア選手権、ユース五輪の出場も決定。
全日本の表彰台も視野に入ってきた。
振り付けを担当する佐藤操コーチは全日本ジュニアの後、このように話していた。
「元々すごくいい素質があったのですが、良い意味では謙虚、悪い意味では自信を持っていなかったと思うんです。でも、昨シーズン、ジュニアグランプリシリーズに選んでいただいて、そこでの経験が彼を成長させてくれた。今は“僕はこんなに踊りたいんです”というのを皆さんに届けることができるようになってきてるかなと思います」
取材中、鍵山の口から「全日本選手権の表彰台も見えてきました」という言葉が出た。一瞬、ハッとさせられたが、全日本ジュニアの250点越えを見れば、当然の目標だ。
SPでは、全日本ジュニアでミスをした3回転アクセルを成功させるだけであと数点の上乗せが可能。SPに規定によってジュニアでは入れられない4回転を入れ、フリーのスピンとステップをさらに磨き上げればシニアでの表彰台も十分に射程内だろう。
ジュニアと全日本の両方を狙って。
12月19日から始まる全日本選手権では、フリーだけでなく、SPでも4回転を跳ぶ予定だという。ただ、その前にはSPに4回転を入れられないジュニアGPファイナル(12月5~8日、イタリア・トリノ)があるため、4回転を入れた練習を本格的にできる期間は実質2週間もない。それでも鍵山はこう言う。
「ジュニアGPファイナル(の構成)と全日本選手権(の構成)をどっちもやるのは難しいですけれども、でも、やっていけたらいいなと思っています」
意欲をもたらしているのは、伸び盛りの勢いを自分自身で感じているからだろう。
「今は、試合が増えて楽しいという思いと、海外の選手も含めていろいろな選手と戦えるのが自分の中でものすごくうれしい。ワクワクしています」