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ジャパンCを制したマーフィー騎手。
でも「日本人より外国人」は短絡的。
posted2019/11/29 19:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
令和初のジャパンカップ(GI)は出走15頭全てが日本調教馬。同レース39回の歴史において史上初めて外国からの出走馬が皆無という状態でゲートが開いた。
これには様々な意見が飛び交った。中には「ジャパンカップの役目は終わった」とか「強い日本馬だけで充分」という声も聞かれたが、第1回からの外国馬対日本馬というワクワク感を知っている人間にとっては純粋に悲しく感じられた。
また、個人的にはあちこちの外国で国境を越えた強い馬同士の幾多の名勝負を見ているだけに、そういうレースを日本では見られなくなってしまった事も悲しさを増幅させる要因だと思えた。
ジャパンカップに対する批判的な意見を認めないわけではないが、このレースが存在している以上、やはり外国から強い馬が来日してくれるための努力を続け、成果を残さなくてはならないだろう。
今回書きたい主旨とはズレるので、そのあたりの詳細には突っ込まない。
しかしヨーロッパだけでなくアメリカやオーストラリア、香港などでも異国からの挑戦者が多く参戦しているのは、もちろん勝算があるため、ではあるが、単にそれだけでもない。ソフト面やハード面での環境整備が成されているのも実際に見ているとよくわかる。繰り返しになるが、ジャパンカップが存続している以上、そういった面での整備は急務だろう。
デットーリ、ビュイックらが参戦。
さて、馬が来なかったのとは対照的に騎手は一流どころが揃った。ヨーロッパを主戦場としているジョッキー達はすべて、地元のシーズンオフに合わせての遠征ではあるが、よくぞこれだけ名のある名手達が揃ったと思えるメンバーだった。
世界一のジョッキーともいわれ、現役でいながら伝説と呼ばれるランフランコ・デットーリ騎手を筆頭に、本場イギリスのダービージョッキーであるウィリアム・ビュイック騎手、アイルランドの伯楽エイダン・オブライエン調教師の主戦で、世界中でGIを勝ちまくっているライアン・ムーア騎手、そしてフランスの昨季リーディングジョッキーであるクリストフ・スミヨン騎手と、イギリスで今季のリーディングジョッキーであるオイシン・マーフィー騎手。
これに通年でJRAの騎手免許を取得しているクリストフ・ルメール騎手にミルコ・デムーロ騎手もいて、鞍上だけを見ているとこの秋の週末の競馬場は日本にいるのかヨーロッパにいるのか分からなくなるほどだった。