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秋山翔吾が西武に残したスピリッツ。
負けているときに、どう振る舞うか。
posted2019/11/28 20:30
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
10月29日、秋山翔吾が海外フリーエージェント(FA)権を行使し、メジャーリーグ移籍を目指すことを表明した。
秋山は2010年のドラフト3位で八戸大から西武に入団。ルーキーイヤーからスターティングメンバーとして活躍し2015年にはNPB記録となるシーズン最多安打(216)を記録した。2017年には首位打者に輝き、2015年から2019年シーズンまでパ・リーグ初の5年連続フルイニング出場を果たしている。
これまで、自身の作った記録との戦いが多かった秋山に、自分の記録を超える難しさについて尋ねたことがある。昨年、西武が首位でリーグ優勝に向けてひた走っていた最中だった。
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「周囲やファンの方からすれば『ここで活躍してくれるだろう』とか『ここでこういうプレーを見せてくれるだろう』という思いがあって当然で、プロである以上、それはとてもありがたいことなんですけど、調子が悪いときは、自分が過大評価されていて、その周囲の期待と本当の自分に“ズレ”を感じるときもありますよ。自分に失望するときもあります」
主将として挑んだ2019年。
2018年は夏場にかけて打率を落とし、なかなかチームの勝利に貢献できない時期が続いた。そんな最中の言葉だった。周囲の期待値が上がるほど、選手はその期待に応えようともがき、結果、期待通りの成績を残せば、今度はその、自分で上げたハードルとの戦いが待っている。野球を生業に選んだプロの厳しさを知った。
そんな秋山が2019年シーズンはキャプテンとしてチームと関わることとなった。開幕前、秋山は「シーズンを戦う中で、主将であることを『しんどい』と感じる時期もくるかもしれない」と語っていた。では主将として過ごした2019年シーズンは秋山にとってどんな1年だったのだろうか。
シーズン終盤、秋山はこう語っていた。