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ラグビー界最強の酒販担当営業マン。
中村亮土の勇敢で愚直な仕事っぷり。
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byGetty Images
posted2019/11/19 20:00
日本代表のベスト8進出に大きく貢献した中村亮土。1月開幕のトップリーグで再び鋭いタックルと華麗なオフロードパスを見せてくれるだろう。
磨いてきたオフロードパス。
歴史的なトライの陰には中村がいた。ロシアとの開幕戦では、磨き抜いたオフロードパスで松島幸太朗の2トライ目をアシスト。
「オフロードパスはジェイミー・ジャパンが始まってからずっと磨いてきたスキルでした」
ボールの先を持つ。ヒジを開ける。相手の顔が見えるまで振り向く――基本から積み重ねたオフロードパスを大舞台で披露できるところが、屈強な心身を持つ中村らしい。
世界を驚かせたアイルランド戦では、福岡堅樹の逆転トライに繋がるパスを放った。
「外が空いているのは分かっていました。サインも聞こえなかったですが、みんな同じイメージがあったと思います」
センターコンビを組むラファエレ ティモシーへ矢のようなパス。福岡へのラストパスが生まれた。ラファエレが左中間に飛び込んだサモア戦のチーム初トライも、ラストパスの供給者は中村だった。
驚異のタックル成功率に貢献した動き。
素早いセットからの強烈タックル――ディフェンスは中村の真骨頂だ。
帝京大学のキャプテンとして大学選手権5連覇を経験している中村は、日本代表でリーダーグループに入り、得意のディフェンスを担当。大会中に強烈タックルを何度も見舞った。
ただタックルだけではない。特にディフェンスラインを素早く押し上げ、相手を内側へ追い込んだ。
前に出ては下がり、前に出ては、また下がる。
過酷なシャトルランで中村らが追い込んだ先には、両ロックのトンプソン ルークやジェームス・ムーア、フッカーの堀江翔太などFW陣がいた。彼らがアイルランド戦で叩き出した驚異のタックル数は、“追い込み漁”に徹した中村らの仕事が要因のひとつだった。