プロとなることで変わる点は？

　プロになることでいくつか変わる点がある。例えば、所属先がフロリダ大学から企業に変わり、現在のようなフルタイムの学生ではなくなる点などだ。これまではフロリダ大学から奨学金をもらい、スポーツ奨学生として活動してきたが、プロになるとその奨学金は受け取ることができなくなる。12月で3年生の前期を終えるが、今後は練習や試合を考慮しながら、自分のペースで授業をとり、フロリダ大学の卒業を目指していく。　

「プロになっても学業は続けます。これは一番大事な、伝えたい部分です」と真剣な表情で話す。

　フロリダ大学の選手だった2年間は、大学に決められた試合に出場し、大学選手権などではチームの主力選手として活躍してきた。

「大学ではチームのために走ることもありましたが、これからはすべてが自分のためのレースになります」

　主戦場はダイヤモンドリーグなどの海外でのレースになり、世界トップレベルの選手たちに挑んでいく。よりどん欲に勝利を求めていく姿勢、ひとつひとつのレースを丁寧に走る姿勢、日々真剣に練習に取り組む姿勢などが必要になる。高校2年生で北京世界陸上200mで準決勝、2017年ロンドン世界陸上では200mで史上最年少のファイナリストに、今年は100mで9秒97の日本記録も樹立した。プロとして、それ以上の結果が求められることは重々承知している。

自らの経験を伝えること。

　レース以外でも取り組みたい活動がある。

　1つ目は日本のジュニア選手へのサポートだ。

「日本陸連のジュニア選手を対象としたダイヤモンドアスリートに選ばれて、様々な講師の方々にお話を聞く機会がありました。自分はジュニア選手と年齢も近く、身近に感じてもらえる立場だと思うので、自分の経験を彼らに伝える機会があれば、ぜひお手伝いしたい」

　海外の大学に進学し、そして学生からプロになったパイオニアとして、可能な限り若い世代にその経験を伝え、自身に続く選手が出てくることを願っている。

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