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パパ永井謙佑、FC東京優勝への誓い。
子どもたちへの「悔し涙はダメだよ」。
posted2019/11/13 11:30
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
AFLO
意外な事実、発覚。
50m走の記録は5秒8。Jリーグ屈指の快足ストライカー、FC東京・永井謙佑の2人のお子さんは、それほど足が速くないそうだ。
「6歳の息子は、ベタ足でバタバタバタって走るんですよ。4歳の娘も、その走り方を真似しちゃう。『それじゃダメだよ』って言うんですけれど、なかなか伝わらない。もう諦めました(笑)。来年、上の子が小学校に入ってから教えようかなって」
ところが運動会でのかけっこになると、話は別。
「4、5人での競走になると、なぜか勝つんですよ。運動会で『負けるだろうなー』と思いながら見ていると、勝っちゃう。2人とも負けず嫌いなんです。特に下の子は、競争で負けるとめちゃめちゃ泣きますからね」
永井は子どもたちとゲームをするとき、一切手を抜かない。常に本気。当然、いつも圧勝。だから、子どもたちは泣いちゃう。そんなとき、パパから一言。
「うれし涙はいいけれど、悔し涙はダメだよ。カッコ悪いでしょ」
子どもたちの負けず嫌いは、きっと父親譲りだ。今年、永井は“禁断の涙”が出そうになるほど、悔しい思いをした。9月14日、0−2で敗れた鹿島アントラーズ戦のことだ。
自分自身への怒りと不甲斐なさ。
「ここ数年の中で、一番悔しい試合でした。勝てるチャンスは十分にありましたし、僕のプレー次第でいくらでも展開は変えられましたから、めちゃくちゃ悔しかった」
何度も相手ゴール前まで進入しながら、ラストパスはDFの足に引っかかり、シュートはゴールマウスの外へ飛んだ。試合後のロッカールームでも、スタジアムから東京へ戻るバスの中でも、自分自身への怒りと不甲斐なさが煮えたぎった。
シュートを外せば、スタンドからのため息が「もちろん聞こえる」。ゴールを決められない試合が続けば、そのため息はどんどん大きくなる。ストライカーの宿命だ。