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パパ永井謙佑、FC東京優勝への誓い。
子どもたちへの「悔し涙はダメだよ」。
 

text by

松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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posted2019/11/13 11:30

パパ永井謙佑、FC東京優勝への誓い。子どもたちへの「悔し涙はダメだよ」。<Number Web> photograph by AFLO

久しぶりにホーム・味スタに戻る首位FC東京。永井謙佑はJ1制覇を達成し、子ども達にうれし涙を見せることができるか。

監督から「なんでやらねえんだ!」

 悔しさとともにスタジアムから自宅に戻り、子どもたちの笑顔に癒された後、永井は長谷川健太監督の言葉を思い出す。昨季開幕前のキャンプで、こう言われた。

「お前がどれだけゴールに向かっていけるかで、チームの成績が変わってくる。点を取るところで勝負しろ。シュートを外してもいいから、やり続けろ。相手はそれを嫌がっているんだから」

 今でも練習中に消極的なプレーをすれば、指揮官から容赦なく「なんでやらねえんだ!」と檄が飛ぶ。

「今までこれほどはっきり言ってくれる監督は、いませんでした。僕らからすれば、求められることが明確になる。仕掛けて、チャンスをつくって、自分で仕留めて。今年は点を取れていない試合でも、自分から仕掛けて、ゴール前には入っていけている。ゴールが決まらなかったからと言って、そこでブレて、やらなくなることが一番良くない。やるべきことをやり続けて、こじ開けるしかないんです」

 やり続ける。これはゴール前での突破やシュートに限ったことじゃない。

交代がわかっても、最後まで。

 今年の永井は、試合序盤にボールを持つ相手DFを猛烈な勢いで追い回す。さらに試合終盤、ベンチで背番号11の交代が準備されていても、最後の1秒まで全力スプリント。疲労の溜まった時間帯に、“5秒8の男”が猛烈な勢いで迫ってくるのだから、相手にとってはたまったものじゃない。

「序盤のスプリントは、自分自身の心肺機能に負荷をかける意味もあるんですが、やっぱり最初に行かないと、チーム全体のラインを押し上げられなかったり、試合への入り方が悪くなるケースがあるので。

 試合終盤に走るのは、貴重な交代カードを自分のために使ってしまうわけですから、最後に僕が頑張って相手を追って、味方を少しでも楽にしてあげたい。僕が追いかけることで、相手がボールをGKまで戻すだけで、後ろの選手はラインを上げられて、楽になるはずですから。僕の走りがスイッチになって、チームが活性化した状態で交代選手が入れればいいなって」

【次ページ】 9ゴール中、7ゴールが味スタ。

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