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パパ永井謙佑、FC東京優勝への誓い。
子どもたちへの「悔し涙はダメだよ」。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byAFLO
posted2019/11/13 11:30
久しぶりにホーム・味スタに戻る首位FC東京。永井謙佑はJ1制覇を達成し、子ども達にうれし涙を見せることができるか。
9ゴール中、7ゴールが味スタ。
11月2日、大分トリニータ戦で「やり続けたこと」が実った。
開始5分、高萩洋次郎が自陣から前線へロングパスを送る。ややコースがズレて相手にボールが渡るかと思われた瞬間、“5秒8の男”は現れた。相手の鼻先、ヘディングでボールを押し出し、日頃の懸垂で鍛えた背筋を活かしたフォームで一気に加速。飛び出してきたGKも置き去りにして、右足で流し込む。8月3日のセレッソ大阪戦以来、3カ月ぶりのゴールだった。
今季のFC東京は、ラグビーW杯開催のため8月下旬から約3カ月間、本拠地・味の素スタジアムを使えず。試練のアウェー8連戦中、一度は鹿島に首位の座を明け渡した。永井自身も、今季の9ゴール中、7点は味スタで決めたものだ。
「やっぱり味スタの雰囲気って、僕たちにとってすごく心強いんですよ。青赤のユニフォームを着た、あれだけのファン・サポーターが埋め尽くしてくれる。その中でプレーするのは、僕個人としてもすごくやりやすいですし、気持ちいいんですよね」
FC東京に感じている恩義。
11月23日、湘南ベルマーレ戦でFC東京が久しぶりに味スタに帰ってくる。アウェーで苦戦が続いていた頃、永井は「負けず嫌い」の子どもたちにこう言われたそうだ。
「パパ、2位じゃん。ダメだよ」
もちろんパパも、頂点だけを目指している。
「優勝したい。もっと頑張りたい。僕が大学4年のとき、どのチームに行くか最後まで迷ったのが、名古屋グランパスとFC東京だったんです。そこで僕が選んだのは、名古屋だった。そんな僕に、東京はもう一度オファーをくれた。一度断られたにも関わらず、6年後にまた声をかけてくれるなんてめったにないし、選手としてすごく嬉しいじゃないですか。だから、東京のために頑張りたいし、タイトルを残したい。
そのためにも、僕が点に絡んで、もう一度チームに勢いをもたらさないといけない。僕とディエゴ(・オリヴェイラ)次第で、東京はもう一段強くなると思うんです。2人で、優勝への道をこじ開けたいですね」