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中島イシレリと妻・理恵子さんの7年。
「代表の支柱」を支える家族の存在。 

text by

山川徹

山川徹Toru Yamakawa

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photograph byNanae Suzuki

posted2019/11/13 20:00

中島イシレリと妻・理恵子さんの7年。「代表の支柱」を支える家族の存在。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

中島イシレリは大きくて、強くて、しかし家族と話すときにはなんとも柔らかい雰囲気を放っていた。

本人は、テレビで見るよりずっと大きかった。

 突然、インターフォンが鳴る。

 インタビューを行っていたホテルの部屋に入ってきたのは、中島イシレリその人だった。髪だけではなく、ヒゲまでも金色に染めた186cm、120kgの巨漢は、テレビで見るよりもずっと大きく感じられた。

 W杯の決勝トーナメント初進出をかけたスコットランド戦の前日。ホテルには日本代表の選手たちが宿泊していた。今年に入り、日本代表は240日間におよぶ合宿を行ってきた。

 選手と家族は、離れ離れの日々が続いていた。千葉県の実家で暮らす理恵子さんは2人の子どもをともなって、家族の時間を過ごすためにホテルに滞在していたのだ。

 中島は、3歳の長男ロニーくんとテルくんの頬にキスをし、理恵子さんにハグをした。ロニー君が父に問う。

「ラグビーに行くの?」

「うん、もう行かなきゃ」

 これから決戦の地となる横浜に向かう中島は、ロニー君をもう一度抱きしめると、家族の部屋を静かにあとにした。プロップは、直訳すると支柱を意味する。日本代表を支える柱の土台には家族の存在がある……。夫を送り出す家族の姿は、そんな思いを抱かせた。

 歴史を変える勝利に日本中が歓喜したのは、その34時間後のことである。

日本中を熱狂させたラグビー日本代表において、出色のパフォーマンスを披露した外国出身の選手たち。発売中の『<完全保存版>ラグビーW杯2019 桜の証言』では、その中で日本人の妻をもつ3人にフォーカスをあて、それぞれの奥さんに取材をお願いした――今回少しだけ紹介した中島イシレリ夫人の理恵子さん、ヴァル アサエリ愛夫人の愛里さん、そしてレメキ ロマノ ラヴァ夫人の恵梨佳さんだ。彼女たちが語った出会い、夫の素顔、家族への愛情、両親への熱い想いとは。
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