猛牛のささやきBACK NUMBER
右肘手術、戦力外でも消えない笑顔。
オリックス黒木優太、また育成から。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2019/10/31 10:00
今年6月にトミー・ジョン手術を受けた黒木優太。「違和感はまったくない」とリハビリは順調に進んでいる。
甲子園に届かず、東都2部で成長。
黒木には、はい上がってプロになった経験がある。
橘学苑高3年の時、黒木はプロ志望届を提出したが、ドラフトで名前を呼ばれることはなかった。高校卒業後は、当時、東都大学リーグ2部に所属していた立正大に進んだ。高校では投手と野手の両方をこなしていたが、大学では投手に専念した。
「大学ではバットが金属から木製に変わるので、バッターはそれに対応しなきゃいけない。でもピッチャーなら何も変わらないから、入ってすぐに投げられて、プロにもよりアピールできるかなと思ったので」
プロにより近づける道を選択して結果を残し、夢を実現させた。
プロ1年目に開幕一軍入りを果たした時、「僕は大学が2部リーグだったし、高校の時も甲子園だとか日の当たる場所には行けなかった。やっと、日の当たるところで育ってきた人たちと同じところに立てた」と喜びを噛み締めていた。ここからもう一度、日の当たる場所を目指す。
オリックスに入団したばかりの頃、プロの世界でどんな選手になりたいかと聞くと、黒木はこう答えた。
「調子が悪い時でもファンの人たちに応援してもらえるような、人間的にしっかりした選手になりたいです」
苦境にも前向きに立ち向かっている今の黒木を、ファンは皆、応援しているはずだ。