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リング内外で何かと話題の内藤哲也。
「2冠」という公約への厳しい道程。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2019/10/30 11:50
ついにサッカー界にまで、その影響力を及ぼすに至った内藤哲也のカリスマ。あとは「2冠」の公約を果たすのみだ。
公約を果たすべく、追い詰められた内藤。
内藤には史上初の2冠という大きなテーマがある。最近では他のレスラーが内藤のマネごとのように「2冠、2冠」と言い出している。これには、内藤は面白くないはずだ。
2冠とはIWGPヘビー級王座(現王者はオカダ・カズチカ)とインターコンチネンタル王座(現王者はジェイ・ホワイト)のことだ。
内藤がファンに宣言した来年の東京ドーム大会(1月4日、5日)で公約通り2冠王者になるためには、何かアクションを起こすにしても、タイムリミットが近づいている。
内藤は9月22日、神戸大会でインターコンチネンタル王座から陥落後、すぐにはアクションを起こさなかった。その後、1カ月ほども沈黙を決め込んでいた。あまりにも「トランキーロ」な期間が長かったために、結局、内藤はいくつかのステップを踏まなくてならない事態に陥ったわけだ。
タイチ「オマエは口ばっかりだ」
11月3日に大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)で、内藤とタイチのシングルマッチがインターコンチネンタル王座への挑戦者決定戦として行われることは間違いない。
対戦が決まった後も、タイチはさらに「オマエは口ばっかりだ」と挑発し続けた。
「やるんだよな? それ相当の覚悟があってやるんだよな? オレが、2冠の偉業達成のための踏み台だって? オレはインターコンチ巻いたことないよ。だけどそれでも、オレを踏み台だって言うんだ? それ相当の価値がオレにあるって、オマエにも分かっているよな。オレなんかに負けたままで2冠王者になれるわけはないからな。今までのオレと違うなって、テメエでも気付いただろう」
内藤とタイチのシングル戦は今年1勝1敗。2月の札幌ではタイチの挑戦を退けて内藤がインターコンチネンタル王座を防衛したが、7月の札幌でのG1クライマックス公式戦ではタイチが完勝している。
今シリーズ「Road to Power Struggle」中、タイチに好き勝手やられても内藤は我慢してきた。だが、ついに内藤が逆襲に出た。27日の後楽園ホール・8人タッグ戦では、タイチにマイクで報復して、反則負けを選び、得意のデスティーノまで繰り出したのだ。