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天皇賞・秋、2強の優先順位は?
歴史的名牝か伸び盛りの3歳か。
posted2019/10/26 19:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
現役最強馬アーモンドアイ(牝4歳、父ロードカナロア、美浦・国枝栄厩舎)が、今週末の第160回天皇賞・秋(10月27日、東京芝2000m、3歳以上GI)で復帰する。
昨年の牝馬三冠とジャパンカップ、そして今春のドバイターフを圧勝。帰国初戦の安田記念は、スタート直後に外から他馬に寄られて大きな不利を受け、直線でも前がスムーズにあかず、3着に敗れた。
しかし、国枝調教師は悲観していない。
「一番強かったと思うのはあのレースだった。それまでは、少々出遅れようが、能力でカバーして追わずに行った。けれども、あの安田記念は『勝たなきゃ』ということで、直線で一気に行ったでしょう。やっぱりすごいな、と思いました。
あれで鼻差でも頭差でも勝っていたらよかったんだけど、結果的に、負けたという事実しか残らないのは残念ですね」
休み明けは全く問題ない。
騎乗したクリストフ・ルメールが「5馬身ぐらいロスがあった」というほど序盤で後方に押しやられ、位置取りが悪くなったがゆえに、直線で前があきづらくなるという二重の不利を食らうことになった。
それでも、上がり3ハロン最速の32秒4の末脚を使い、首+鼻の3着まで追い上げた。言わずもがなだが、力負けではない。天然の強さで勝ちつづけてきたアーモンドアイが、最後の直線だけとはいえ、初めて勝負に徹する豪脚を見せたという収穫もあったのだ。
今回は、安田記念以来、5カ月近く間隔があいての実戦となるが、これまでも、休み休み使われてきた。
国枝調教師は「ジャパンカップでの強さを見ると、やはり秋華賞を使った上積みが大きかったことがわかるので、間隔をあけたほうがよりいい、というわけではない」と話しているが、通算9戦7勝2着1回3着1回の戦績が示しているように、人馬ともに休み明けでの力の出し方を心得ている。