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女子マラソンの世界記録が大幅更新。
ラドクリフも市民ランナーも祝福。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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photograph byAFLO

posted2019/10/27 11:30

女子マラソンの世界記録が大幅更新。ラドクリフも市民ランナーも祝福。<Number Web> photograph by AFLO

女子マラソンの世界記録が16年ぶりに更新された。人類は確実に前へ進んでいるのだ。

同じレースを走ったランナーの言葉に救われる。

 何とも言えぬ気持ちのまま、原稿(これではない)を書き上げて郊外への電車の駅に着いた。構内にはいかにもさっき、走り終えたばかりだという感じの市民ランナーたちが何人もいた。

 ホームで座り込む人もいれば、記念撮影をしている人もいる。コーヒーを飲みながら仲間と談笑している人もいれば、スマホの画面に見入っている人もいる。4万5千人とも言われる参加ランナーたちはきっと、シカゴの街のあちこちで、こんな感じでレース後を過ごしているのだろうと思った。

 電車に乗り込む時、その内の1人が、かすれた声でランナー仲間にこう言った。

「女子で世界記録、出たのって知ってた?」

 全員がほぼ同時に「もちろん!」と突っ込み、笑い声が起きる。

 照れ笑いの若者は何事か文句を言い、スマホを見ながら最後にこう呟くのだった。

「同じレースで走れたのって、なんだか誇らしい気持ちだよね」

 16年もの間、破られることがなかったマラソンの世界記録。それが書き換えられた瞬間に立ち会えたことは、特別であり、貴重であり、素晴らしい時間であるべきだ――。

 見ず知らずの若者に、自分の気持ちを代弁された気分になった。

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