濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
スターダムがブシロード傘下に。
オーナーの狙い、新日本との関係は?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2019/10/23 19:00
選手たちと記念撮影する首脳陣。前列左から原田社長、小川プロデューサー、木谷オーナー。
ファンのマインドを熟知した親会社。
また、日本からアメリカの団体に移籍する女子選手が増えている状況にも、木谷氏は言及している。
「こっちがちゃんとした(女子の)舞台を作らないと、人気が出た選手は向こう(アメリカ)に行っちゃいますから」
宝城カイリ、紫雷イオのWWE行きを見送ってきた岩谷は「自分の目標は、日本にいながら世界的に有名になることです。(新体制で)安心してプロレスに打ち込めると思います」と笑顔を見せた。
“スターダム買収劇”の根底には新日本プロレスの世界戦略があるのだが、しかしそれを推進させたのは女子プロレスの魅力とスターダムの可能性である。そして今後の活動において優先されるのは、現場の感覚とファンの声だ。ブシロードはコアなファンのマインドを熟知しているし、その上でどうビジネスを広げていくかについての手腕もあると言っていい。
目標は「2年で売上3倍。2億から6億にしたい」
たとえば、ブシロードによるライブエンターテインメントとのコラボレーションについても、木谷氏は「慎重に」と言う。
「今のお客さんは、自分が好きなものに違うものが混じるのを嫌がるので。今は薄く広くではなく狭く深く(のコンテンツ)がたくさんある状況ですから」
この認識をベースにしながら、現在のファン層の中心であるアラフォー男性だけでなく女性や若年層にもスターダムをアピールしていきたいと木谷氏。いずれ女性客限定興行なども開催したいそうだ。現状のスターダムは後楽園ホール大会がビッグマッチ。しかし超満員の大舞台や女性ファンだけに見られる経験によって「選手が醸し出すオーラも変わってくる」と期待している。
目標は「2年で売上3倍。2億から6億にしたい。新日本は10億ちょっとから前期54億で5倍。でも小さいものを大きくするほうが倍率としては早いですから」。年間売上6億になれば、たとえばこんなことができる。
「選手(移動用)バスを作ろうかという話になるし、その(団体ロゴが入った)バスが走るだけでも宣伝になるじゃないですか」