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石川遼は今が最高に「いい状態」。
日本初のPGA大会で見た明るい顔。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph byKyodo News

posted2019/10/23 11:50

石川遼は今が最高に「いい状態」。日本初のPGA大会で見た明るい顔。<Number Web> photograph by Kyodo News

石川遼の状態は上向きで、表情も柔らかい。選手会長の重責を担いながらの復活には頭が下がる。

彼のポジティブさを忘れかけていた。

 以後、日本に戻ってからの石川は、米ツアーから去ることになった悔しさを噛み締めながら復活を目指してきたのだろうと想像していた。日本で辛いことがあったら、ウインダム選手権を去ったときの風景を思い出し、ナニクソの精神でゴルフクラブを振ってきたのだろうと思っていた。

 だから石川に、こう尋ねてみた。

「PGAツアー時代のことで、何かにつけて一番思い出されるのは、どんな場面ですか?」

 石川の返答は、実に意外だった。

「フィル・ミケルソンと一緒に回ったメモリアル・トーナメントのときのことです。何年のことか覚えてないけど、フィルのバンカーショットとラフからのアプローチに衝撃を覚えました。正真正銘の世界一の技術を目の当たりにして、ビックリしました」

 悔しさを糧にするのではなく、いいもの、目指すものを頭の中に常に置いて進んでいく。そんなポジティブな前進の仕方こそが、石川らしさであることを、あらためて痛感させられ、同時に妙にうれしくなった。

 昔から石川は「前向き」「ポジティブ」と言われ続けてきたが、米ツアー時代の終盤の彼の暗い表情の印象が強かったせいか、私はうかつにも彼の「らしさ」を少々忘れかけていた。

歴史に刻まれる1週間への感謝。

 石川のポジティブ姿勢は、今でもあらゆるところに見て取れる。

 アコーディア・ゴルフ習志野CCは「回ったことがない」そうで、練習日の火曜日に練習ラウンドを行なう予定だったが、悪天候のため叶わず、水曜日のプロアマをこなしながらの下見のみで挑むしかない。

 それでも石川は感謝と特別感ばかりを口にする。

「PGAツアー、ZOZOを始め、この大会に関わってくださる方々、歴史に刻まれる1週間を開催してくださって感謝しています。(本来の)36ホールのうちの18ホールを使用しているということなので、特別な習志野CCをプレーできることは、特別な気持ちです」

【次ページ】 目の前のプレーがPGAにつながっている。

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