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百戦錬磨ウッズのダーツ・ゴルフ。
「出だしはアグリー、今はいい感じ」
posted2019/10/25 20:30
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
昔からタイガー・ウッズには、よく口にする口癖のようなフレーズがいくつかある。「スコアカードをクリーンに保つ」は、その1つだ。
スコアカードを「折り曲げたり、汚したりしない」という意味では、もちろんない。
ゴルフはイーブンパーとの戦いゆえ、基本となるスコアはイーブンパーだ。スコアカードにボギーやダブルボギー、トリプルボギーを示す印ができるだけ少ない白っぽい状態こそが、スコアカードが「クリーン」な基本形。
その基本をクリアした上で、バーディーやイーグルを示す印が増えれば、それは基本形を超えた「ベリー・クリーン」な理想形。
ウッズはその日その日のスコアカードを「クリーン」な状態にすることを心掛けている。
だが、ZOZOチャンピオンシップ初日のウッズの出だしのゴルフは、クリーンどころか、「アグリーだった(酷かった)」とウッズ自身が渋い顔で振り返った。相棒キャディのジョー・ラカバも「かなり悪かった」と苦笑いした。
それもそのはず。スタートホールの10番は第1打をいきなり左の池に入れてボギー発進。11番はティショットが左の木に当たってフェアウエイバンカーに落ち、2つ目のボギー。12番はグリーンをなんとか捉えたものの、20メートル超から3パットして3連続ボギー。まさに「アグリー」な出だしとなった。
3連続ボギーのち、9バーディー。
しかし、スコアを伸ばしては落とすことを繰り返しての3ボギーも、まとめて落とす3ボギーも、「ボギーが3つ」であることに変わりはない。
出だしでまとめて3つ落としたことは、考えようによっては「あとは伸ばす一方だ」という具合に気持ちを切り替えやすかったとも言える。いや、ネバー・ギブアップのウッズだからこそ、そうやって発想を転換させ、流れも転換させることができたのだろう。
「ちゃんと、ひっくり返したよ」
その言葉通り、3連続ボギーの後は、9つのバーディーを奪い返し、ボギーはゼロに抑えた。
3連続ボギーを記したスコアカードの端っこ部分を挟みでチョキンと切り離せば、ウッズのスコアカードは「ベリー・クリーン」で「ベリー・グッド」になっていた。
そして、リーダーボードを駆け上がり、いつしか最上段へ。その巻き返しぶりは、まさに王者の貫禄だった。