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歩くことさえ苦痛だったマリー。
涙の会見、引退危機からの復活V。 

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長谷部良太

長谷部良太Ryota Hasebe

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posted2019/10/23 18:00

歩くことさえ苦痛だったマリー。涙の会見、引退危機からの復活V。<Number Web> photograph by AFLO

優勝を決めた直後、人目もはばからず涙したマリー。「BIG4」と称された男がトップレベルに戻ってくれば、テニス界はさらに盛り上がる。

「もうすぐ3人目がやってくるんだ」

 自身にとって記念すべきタイトルだったが、普段から大会に同行する妻キムさんの姿は客席になかった。優勝インタビューで、その理由を観客に明かした。

「うちには小さな子供が2人いるけど、もうすぐ3人目がやってくるんだ」

 そもそも、今大会の出場を決めた一番の理由は「英国から最も近くでやっていたから」。間もなく第3子の出産を迎えるというキムさんを気遣い、ロンドンから飛行機で1時間という近場のアントワープを選んだ。

「家族に感謝したい。妻は僕の復帰のために献身的にやってくれた。僕が闘い続けるためのサポートをね。この数年で家族も増えたし、僕もまたしっかりやっていかないと」

 2017年全仏オープン準決勝など、これまで大舞台で何度も激闘を繰り広げてきたワウリンカも、マリーの復活に温かい言葉を送った。

「僕を含めて、テニス界は全豪の時の記者会見を見て悲しんだ。手術を経て再び戻ってきてくれたことはうれしい。決勝で負けてしまった寂しさはあるけど、またこのようなレベルまで戻ってきてくれたことがうれしい。あなたは素晴らしいチャンピオン。おめでとう」

ビッグ4の宿敵と再びやり合う日を。

 翌日には、11月の国別対抗戦、デ杯の英国代表メンバーに入ったことも発表された。

 地元メディアの期待も高まり、「今の体調が続けば、来年にはトップ10の返り咲きもできる」と予想している。それほどまで、決勝を含めた試合内容は充実していた。

 現在は32歳のノバク・ジョコビッチ、33歳のラファエル・ナダル、38歳のロジャー・フェデラーのトップ3がそれぞれ、多少の浮き沈みはありながらも四大大会のタイトルを分け合う状況が続いている。かつて「ビッグ4」の一角だった32歳のマリーが、再び彼らと互角にやり合う日が来るのも遠くないはずだ。

 マリーは2012年ロンドン五輪と2016年リオデジャネイロ五輪のシングルスで金メダルに輝き、この種目では史上初めて連覇を達成している。来年の東京五輪までに、3連覇を狙えるほど調子を取り戻す可能性も、十分ある。

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