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巨人、先発不足のうえに中継ぎ崩壊。
連敗からの日本一は2回だけだが……。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNanae Suzuki

posted2019/10/21 11:50

巨人、先発不足のうえに中継ぎ崩壊。連敗からの日本一は2回だけだが……。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

7回、均衡を破るスリーランを放った松田は、お得意の“熱男”ポーズを決めた。

巨人の最大の問題は先発投手不足。

 このシリーズで巨人が抱えた最大の問題は先発投手の員数不足だった。

 シーズン中からローテーションの軸を支えてきた山口俊投手とメルセデスまではいいが、エース・菅野智之投手が腰の故障からフル回転できない状況にある。

 最終的には菅野の第4戦の先発が決まったが、それでも残る投手を誰にするか?

 シーズン終盤に先発の一角を担った桜井俊貴投手が阪神とのCS第3戦の2番手で登板したが1回0/3 3失点といいところなく打ち込まれ、1年目の戸郷翔征投手ではやはり荷が重い。CS第4戦で好投したルーキーの高橋優貴投手に3番手を任せることになったが、それでも先発不足というチーム状況は解消できていないというのが現実だった。

 結果としてシリーズは山口、メルセデス、高橋、菅野の先発4人体制で乗り切ることを原監督は決断した。

次の登板で崩れては意味がない。

「トータルで考えるということです」

 宮本投手総合コーチは言う。

 先発にはいけるところまでいかせて、勝てるとなれば多少のムリはさせても完投させる。先発の駒がある程度、揃っていればそうやって1勝ずつ勝ち取っていくと戦略ももちろんある。ただ、先発4枚を有効に使うとなると、ムリして球数を投げさせるのではなく、次の試合でも6、7回まで試合をきちっと作れるコンディションを優先する。

 だから日本シリーズ初戦の山口も、まだまだいけそうだったが6回81球で降板させた。完投して1つの勝ち星を取れても、7試合で4つ、勝たなければならないシリーズのシステムを考えれば、次の登板で崩れて試合が作れなくなってしまえば意味がない。

 その代わりに早めに交代させて敗れるリスクはあるが、4連敗でも3勝4敗でも負けは負けと割り切っている。それよりシリーズを7戦トータルで組み立て、この先発陣で4勝できうる可能性を選択した。菅野を4戦目に持ってきたのも、ある意味3連敗したときのリスク管理を含めた決断だった。

【次ページ】 連敗から日本一に輝いたのは2回だけ。

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