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寡黙な男SANADAの静かなる野望。
「ライバル」オカダのIWGPに挑む。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2019/10/10 20:00
2007年、武藤敬司体制下の全日本でプロデビューしたSANADA。海外武者修行や多くの団体での闘いを経て、ついに新日本の頂点を目指すまでに。
「ライバル、初勝利おめでとう」
SANADAは8月3日、大阪でついにオカダを破った。初勝利。これで1勝6敗。G1クライマックスの公式戦でSANADAはすでに優勝戦線からは退いていたが、オカダ戦は特別だった。手の内を知り尽くした感のある攻防だったが、30分の時間切れ寸前、SANADAはムーンサルト2連発でオカダを押さえこんだ。
「ライバル、初勝利おめでとう。一番負けたくない相手に負けたな。でもライバルが勝ったことによって、オレとSANADAさんの物語は、楽しくなってくるでしょうね」
オカダはSANADAにこんなメッセージを送った。
試合の駆け引きはこれまでの対戦と、連日の前哨戦で互いに研究を重ねている。オカダのラリアット「レインメーカー」もSANADAの胴絞めドラゴンスリーパー「Skull End」もそう簡単には決まらないだろう。
夜のバーのカウンターで静かにウィスキーのグラスを手にしているSANADAの姿は決まっているというか、格好がいい。それと同じように、SANADAがリング上でIWGPヘビー級のベルトを巻いた姿はもっと格好いいんだろうな、と思ってしまう。