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スプリンターズSを予想していたら
ディープの偉大さに改めて驚いた。
posted2019/09/28 19:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
秋のスプリント王を決める第53回スプリンターズステークス(9月29日、中山芝1200m、3歳以上GI)が近づいてきた。
1990年にGIに格上げされてから今年がちょうど30回目となる。過去29回で、父仔制覇は一度も達成されていない。
こういうGIは珍しいのではないかと調べてみたら、父仔制覇が不可能な牝馬GI以外で、30年(正確には29年だが)も父仔制覇がない平地GIは、このレースと朝日杯フューチュリティステークス(2000年以前の朝日杯3歳ステークス時代も含む)だけだった。
春のスプリント王決定戦の高松宮記念は今年がGIになってから24回目だったのだが、父キングヘイローと仔ローレルゲレイロが'09年にそれを達成している。
今年の高松宮記念では、父ロードカナロアとの父仔制覇をダノンスマッシュ(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)に期待したのだが、4着に敗れた。
禁止薬物の余波から立ち直って。
ロードカナロアはスプリンターズステークスを'12、'13年と連覇している。ということは、今回もダノンスマッシュには父仔制覇の期待がかかるわけだ。
高松宮記念後の復帰戦に予定していた6月の函館スプリントステークスは、多くの厩舎で用いられていたサプリメントから禁止薬物が検出されたことの余波を受けて競走除外の憂き目を見た。
再度立て直され、前走、8月25日に札幌芝1200mで行われたキーンランドカップに出走した。鞍上はテン乗りの川田将雅。4コーナーで外に張り出され、敗れた高松宮記念と同じような格好になりながらも、直線で豪快に突き抜けた。
川田は、'04年3月にデビューしてから1年10カ月間、安田厩舎に所属していた。そう、これは安田-川田の師弟コンビによるチャレンジでもあるのだ。
この師弟でGIに臨むのは、今回が7回目となる。過去最高の成績は、ダッシャーゴーゴーによる'10年スプリンターズステークスの4着。
今年のスプリンターズステークスで、馬の父仔による初制覇と、安田-川田の師弟コンビによるGI初制覇という2つの夢が同時に叶う確率は、かなり高いように思われる。