球道雑記BACK NUMBER
熾烈なCS争いの中、二軍で調整……。
ロッテ涌井秀章は、また甦る?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2019/09/22 11:30
今季は一軍17試合に登板して3勝7敗。8月1日に一軍登録を抹消された。
涌井の生命線は粘り強さ。
結局、7月31日のオリックス戦での4回6失点で二軍降格となったが、本人にとっては何かを掴めそうで掴み切れなかった感覚があったに違いない。
「元々、ダルビッシュみたいにパーフェクトで抑えていたタイプではないですし、打たれている中で粘る、粘って気づいたら最後まで投げ続けていたというタイプだと思っています。そこを周りがどう見るかですよね。確かにピンチでタイムリーを打たれるときもあったので、結局はそこで踏ん張れるかなんだろうと思います」
つまり“際”で粘れるかどうかが、涌井の生命線ということになる。黙っているだけでなく、そのための手段も模索している。
スプリットの再習得。
「結局のところ大事なのは決め球、空振りを取れる球。そこがしっかりしていれば、今季もある程度は楽に投げられたと思うんです。今は決め球というか、球数を減らす球を練習しているというか、(ファームの試合でも)もう1度投げ始めています。(具体的に言うなら)スプリットをもう1度しっかり投げる。そんな感じですね」
ゴロを打たせやすいスプリットの再習得は、涌井らしさを甦らせるきっかけにはなるかもしれない。西武時代から涌井を知るキャッチャーの細川亨も「ストレートあっての変化球」と条件は付けたものの、「たしかに幅は広がると思う」と一定の理解を示した。
涌井が言う。
「スピードが出ていないとか言われていますけど、その日の体調とか球場でスピードは変わってくる。マウンドも当然違う。序盤がよくなくても、終盤によくなることもあるから一概には言えない。今は全体的に上手く噛み合っていないのかなと思っています」
頬がこけ、痩せ細った現在の彼の姿を見て、憶測であれこれという人間もいるようである。だが、チーム関係者によればもえ夫人の協力もあって涌井の食事管理は万全だという。