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新生ドイツは頂点に返り咲けるか?
オランダに敗戦、ロイスは前向き。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2019/09/10 08:00
ロシアW杯ではショッキングなグループステージ敗退に終わったドイツ。来年のEUROまでに王者の威厳を取り戻せるか。
まだ十分に成熟はしていない。
ただ、チームが備える力強さも、安定感も、柔軟性も、意外性も、求めているレベルに達していないのも確かだ。代表チームマネージャーのオリバー・ビアホフはそこを認めている。
「自分たちの現在地はわかっているつもりだ。世界のトップレベルとはまだ確かな差がある」
そこを埋めるために、ただメンバーを若返らせればいいわけではない。そこに未来が見えなければならない。
この試合で言えば、前半はある程度は狙い通りだった。だが後半、オランダの猛攻を受け流すことができなくなった。リズムをつかむことができないまま、自分たちがミスを重ね続けてしまう。それは若さではなく、青さだ。
キミッヒも、そこは否定しない。
「僕らがまだ十分に成熟したチームではないのは確かだろう。先に点を取って逆転されたのも初めてのことではない。2-0とリードしながら逆転負けをしてしまった試合もあった」
現状でのクオリティは、まだまだ。
相手の攻撃をしっかり整理した守備で制御できているときはいい。しかし、相手が上手でこちらの狙いを外されたり、自分たちのミスで崩れたとき、コントロールを失った状態から、いかに相手の攻撃を押しとどめ、素早く秩序を取り戻し、再び相手を制御できるように持っていけるか。そして、攻撃でもカウンターだけでもポゼッションだけでもなく、どちらもハイクオリティで繰り出すことができるようになる必要がある。
ドイツのクオリティは、まだ足らない。
この日の敗戦で、上昇気流に乗っていた雰囲気は少し興ざめてしまったかもしれない。だからといって必要以上に落ち込む必要はないことはわかっている。
DFズーレは試合後「プレッシャーはいつでもある。今日の試合も絶対に勝とうと思っていた。ここ数試合、褒められるだけの試合をしてきたけど、今日は良くないゲームだった。理由はいくつかある。僕らはまだ若いし、ここから学ばなければならない。ミスについて話をして、改善していく。でもすべてが悪いわけではない。僕らはみんな次の試合は新しい一戦だというのはわかっている。ショックとかそういうのはないよ」と、冷静に答えていた。