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大宮を救ったイッペイシノヅカ。
ロシア代表とJ1昇格の二兎を追う。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byGetty Images

posted2019/09/10 11:30

大宮を救ったイッペイシノヅカ。ロシア代表とJ1昇格の二兎を追う。<Number Web> photograph by Getty Images

国籍はロシアだが、外国人枠ではない出場が可能なこともイッペイ・シノヅカの優位な点の1つである。

ロシアで育った仕掛ける力。

 だが、移籍後初ゴールが連敗ストップとなる貴重な同点弾になった。

「ホッとしました。でも、もっと決められるチャンスがあったと思うんで、チームを勝たせるためのゴールを決められたらいいなって思います」

 大宮では主に左ウイングバックを任されているので、ゴールまでの距離が遠い。それでもボールを持った時は、積極的に仕掛ける。町田戦でも相手が2人で挟み込もうとしてもそこを突破していく積極性を見せた。

 その姿勢は、まさにロシア仕込みだ。

 イッペイシノヅカは17歳の時、ロシアのスパルタク・モスクワと3年契約を結んだ。ユースチームに入り、全国ロシア・クラブユース大会に出場して2得点を挙げ、大会ベストMFに輝くなど将来を嘱望された。

 チームではトップ下やサイドハーフとしてプレーしていたが、どのポジションでもロシアではとにかく仕掛ける積極性が求められる。イッペイシノヅカもドリブルを武器として磨き、果敢に仕掛けるプレーをしていた。

「ロシアでは、結果を出さないと上(トップチーム)に行けないので、そのためにはとにかく自分の良さを出すことしか考えなかったです」

 大宮でも失敗を恐れず、果敢にトライする。三門は「あいつは外国人」と、その攻撃力と自己主張の強さを高く評価している。

守備面ではまだはっきり課題がある。

 その一方で明確な課題もある。

 これはマリノスで起用されなくなった要因のひとつでもあるが、守備力が足りないのだ。

 甲府戦までは7試合連続でスタメン出場していたが、この日は一転してサブになった。

 高木琢也監督が「町田のプレッシャーが激しいので戦うためにメンバーを変更した」と語ったように、守備重視で考えてイッペイシノヅカをスタメンから外したことになる。後半に出場してからもなかなかボールを獲れず、簡単に背中を見せてしまい、粘り強く我慢い守備ができていなかった。

「守備は…うーん、1対1で勝つようにしているし、やられないようにやるけど、これまであまりきちんとやってこなかった分、難しさがありますね。でも、やっていかないといけないんで、これから(どう守るか)考えながらプレーしていきたい」

【次ページ】 マリノス時代は2年で1点だけ。

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