バスケットボールPRESSBACK NUMBER
日本バスケが突きつけられた現実。
W杯で得た課題と、どう向き合うか?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byYukihito Taguchi
posted2019/09/05 12:20
チェコ戦で惜しくも敗れたバスケットボール日本代表。目標としていた1次リーグ突破の可能性は途絶えた。
NBAプレーヤーを待つのではなく。
NBAでプレーする渡邊雄太や八村、あるいはアメリカで戦っている若い選手たちであれば、日々の戦いの中で自然と世界レベルのフィジカルになれていくことができるだろう。
しかし、Bリーグで戦っている選手たちはそうもいかない。世界レベルで遜色なく戦えるようになるためには、選手自身が意識を変えるだけではなく、Bリーグの環境をどう作るかも考えていく必要がある。
「NBAはもちろん、ユーロリーグと比較しても、日本ではコンタクトに対していとも簡単にファールがとられすぎてしまいますよね。バスケットは、そこまでぬるいスポーツではないし、現状が良いとは思えません」
そう話すBリーグの指導者もいるが、審判の判定基準や外国籍選手の出場に関するルールの整備も含めて、Bリーグと日本バスケットボールの普及にかかわるすべての者たちはこの課題と向き合っていかないといけない。
それができなければ、NBAやヨーロッパでプレーする選手が日本代表に増えていくのをただ待つだけになる。せっかく自分たちの日常たるプロリーグができたのに、指をくわえて待っていることほどにみじめで、情けないことはないだろう。
決して下を向かない選手たち。
光明があるとすれば、選手たちが現状に甘んじたり、言い訳に逃げたりしていないことだろう。「まだまだW杯は続くので、ここからも成長していきたい」と語った渡邊以外にも、言い訳などせずに危機感をあらわにする選手たちがいた。
田中はこう話している。
「親善試合は親善試合、本番は本番、だとわかっているつもりでも、本番でいざ試合をすると、本当の強さのようなものを感じますし何十年ぶりに(自力で)この大会に出て、簡単に2つ勝って上に進めるほど甘い世界ではないと思います。
こういうフィジカル(コンタクト)は普段の自分たちがなかなか経験できないものです。普段から意識を変える必要がありますし、オリンピックまで時間がないと思うので、もっと要求していきたいなという思いがあります」
31歳になったキャプテンの篠山竜青もこう語った。
「僕がいま24歳であれば、『良い経験をしています。次の世界での戦いまでにしっかり成長します』と言えますけど、『これを良い経験として持ち帰ります』と言って、帰っていいわけではない。試合のなかでアジャストしないといけない」